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施設のできごとや行事、イベントなどの様子を更新していきます。
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家事は運動

2024-04-06
自宅で過ごす中で掃除、洗濯、調理等の家事を行っている方はどれくらいおられますか?健康寿命(自立した生活を送れている時期を指す)を維持できている方は毎日の習慣である家事を行うことで、座ったまま過ごす時間が少ない傾向にあります。そうすることで軽めの身体活動をしていることにつながり、維持できているといえます。一つでもいいので家事を行い、役割をもつことも重要です。ぜひ実践していきましょう。
 一つの基準として、METs(メッツ)という単位をだして説明していきます。
 様々な活動がその何倍のエネルギーを消費するか示した活動強度を指すのがMETs(メッツ)。
1METs(安静に座っている状態)
3METs(散歩(ウォーキング)程度の歩行)
それでは家事は一体どれくらいの運動になっているのかみていきましょう。
 
➊料理
2.5 METs
野菜室から野菜を取り出したり、米びつからお米を出したりの用意の作業。皿洗い。
2.0 METs
調理(立ったまま食材を洗ったり、切ったり、炒めたりする)
3.0 METs
料理を運んだり、食器を用意したりする
※料理は時間がかかる家事なので、ちょっとした運動よりも消費カロリーが増える場合も多い。
 
❷洗濯
2.4 METs
洗い終えた洗濯物を干す
2.3 METs
乾いた洗濯物を取りこみ、畳んで、片付ける。
2.3 METs
アイロンがけ
※重いものや洗濯物の量が多い場合はさらに運動負荷があがります。
 
❸掃除
2.5 METs
ゴミ捨て
 
3.8 METs
風呂や浴室掃除
3.0 METs
窓ふき
3.5 METs
掃除機掛け
4.0 METs
庭掃除
5.3 METs
床掃除
※一日中掃除をした場合、一日中ウォーキングするよりも運動しているということになります。
 
自宅でできる運動として、手すりがついてある階段を使用した足上げ運動を推奨しています。階段昇降は筋力向上や可動域の維持につながりますが、危険もあります。そこで「階段の1段目を使用し、手すりをもって、足を交互に10回ずつ上げて、足を段の上にのせる」を繰り返す運動であれば安全に自宅で運動することができます。後はできるだけ30分に1回は立つ機会を設けることも大切です。例えば食事は必ず別室で食べるようにするだけでも移動することで運動につながります。実は転倒リスクを減らすために移動距離を減らしたり、動く機会を制限したりすることが逆に転倒リスクを高くしている可能性があります。やれることから取り組んでいきましょう。

認知症の方がかたくなになる理由

2024-02-29
認知症の人の「かたくなな気持ち」が驚くほどすーっと穏やかになる接し方について紹介していきます。
認知症の方が「かたくな」になるのには、理由があります。「認知症によって、かたくなな性格になった」のではなく、「病識が低下し、認知症の症状が作用して、かたくなさが生まれている」ということです。
接し方によって認知症のある方をますますかたくなにさせてしまうことがあります。逆に穏やかに過ごしていただけるポイントがあります。それは「いい人と思っていただく」ことと、「〇〇しない」ことです。
・本人に欠点を指摘しない。 ・否定的な態度をとらない。 ・求められていないのに助言やアドバイスをしない。
・本人の前で悲観的な態度をとらない。 ・議論して相手を言い負かそうとしない。
・手柄を主張しない(それは私がしてあげたということを言わない)。 ・相手を見下ろして話さない。
他にも否定されない安心な空気を作ることが大切です。また、自然と以下の方法を行えるとより良いといえます。
・相手の気持ちに共感する。 ・とにかく褒める(ささいなことでもいい)。
・うまくいったら本人の手柄にする。   ・いつでも手助けする姿勢をみせる。
・相手の気分を害するようなことをしたら、すぐに謝る。
こうした接し方を心掛け、認知症の方との関係性を築き、「いい人」とインプットされたら、特別なことはしなくてもあなたの存在が安心につながります。
 
〇こちらが穏やかでいれば、相手も穏やかになる法則
ほんの少し認知機能に不具合が生じるだけで、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまいます。
認知症の方の行動にイラっときたら「ありえない!」「いいかげんにして!」と思うかわりに、「不思議すぎる!なんで??」「どの認知機能の不具合が原因なんだろう」と考えてみてください。少し距離をおき、その行動の理由を客観的に考えてみましょう。認知症介護の大切なポイントは、認知症の方の行動を抑えよう、変えようとすることではなく、その人の心から不安と緊張を取り除き、安心と自信を与えることであることを忘れないでください。
 
〇嫌がることは無理強いせず、「別の形の提案」にする
着替えたくない気持ちを尊重して、着替えないのではなく、着替えるきっかけをどう持っていくか考えることが大切です。例えば外出するときに「着替えましょう」ではなく、「おしゃれして、出かけましょう」と別の形を提案して切り替えると効果があります。外出の直前ではなく、時間のある時にゆっくり対応することで、本人様の満足につなげていくことが大切です。
 
〇困った行動も「できること探し」の視点で見てみる
頻繁にスーパーに通い、同じものをたくさん買ってしまう方がいるとします。家族からしたら「なんで?」「前にも言ったのに」と思う方もいると思います。しかし、間違いや失敗を強い口調で責めるように指摘されるのは認知症の方には大きな打撃になります。注意と指摘が必要と思ったとき、まずは一呼吸おいてみてください。そして、その原因を相手の立場で考え、解決する方法を提案することが重要です。頻繁に同じものを買い物にスーパーに行くことを良い方向で考え、「外に出かけられる」「買い物ができる=支払いができる」等、「できること探し」の側面から見るようにし、「できない」「覚えられない」等の否定的な注意や叱り方をやめてみると、見え方も変わってきますので、「できること探し」の視点で見続けることは重要です。他にも「あなたの力が必要」「あなたの存在がないと困る」等、大切な人であることを自覚していただく関わり方が大切です。

認知症の方が見ている世界

2024-01-24
「認知症の方が見ている世界3」が発売されました。そこには私たちが認知症の方と関わる上で大切なことが多く書かれています。いくつか抜粋してお伝えさせていただきます。
〇昼夜逆転時の対応
生活リズムを正すため、意識して日中の活動量を増やしましょう。昼間は明るく、夜は暗い所で過ごし、できるだけ体を動かすことが大切です。他にも家で家事を手伝ってもらったり、窓辺の明るい場所で過ごしてもらったりするといい。
 
〇着衣失行
 認知症が進行してもジェスチャー(身振り手振り)を使って伝えることは有効です。
 アルツハイマー型認知症は進行しても見たものを処理する後頭葉にはほとんど障がいが起こらないので、目で見て理解する脳の働きは残っています。ジェスチャーは声掛けと同時ではなく、着替えを表す動作を見せてから、「〇・〇・さ・ん」「き・が・え」「て・つ・だ・い・ま・す」とゆっくり話すと伝わりやすくなります。また、できるだけ自分で着替えてもらい、時間がかかる場合だけ手を貸すのが理想的ですが、本人が不安に感じていたら適宜サポートすることが望ましい。
 
〇暴言・暴力
暴言や暴力は言葉にできないもどかしさの表れであります。ウロウロ、キョロキョロ、イライラ、ソワソワのサインがみえたら、本人の視野にゆっくりと入って存在を認識してもらい、穏やかに話しかけることが大切です。失語があると、「アレ」「ソレ」という代名詞が増えたり、名前を正しく言えなかったり、伝えようとしているのに伝わらなかったりともどかしい想いを抱えている可能性があります。そうしたときは、本人の身振り手振りを見て、何を言いたいかを考えましょう。
 
〇入浴介助
入浴は手順や工程が多く、認知症のある方には負担が大きい作業や選択の連続です。前頭葉には、脳の各部位の働きを統合して行動に結びつける働きがありますが、この部位に委縮が進むと、実行機能障害(段取りや計画を立てて物事を実行することが苦手になること)が起こり、順序立てて物事をこなすことが困難になります。失敗や事故を防ぐためにさりげなく入浴をサポートするようにしましょう。ジェスチャーで動作を伝えると、上手く伝わることも多いでしょう。
 
〇トイレ介助
 トイレ介助は自尊心を損なわないように本人のペースに合わせて行いましょう。
 トイレで用を足すときは「衣類を下す」「用を足す」「排便時はお尻を拭く」「水を流す」「衣類を上げる」といった複数の工程があります。サポートするときは下着を強引に下ろすのは控え、急かさず、本人のペースに合わせることが大切です。認知症が進行しても、自尊心や喜怒哀楽にまつわる「感情記憶」は残っています。トイレの介助を頼むのは本人にとって抵抗があるものです。トイレの失敗を叱責すると、自尊心が大きく傷つき、不信感や不穏に結びつきます。
 汚れた下着を隠したら「自尊心や羞恥心、判断力が残っている」と前向きにとらえ、冷静に対処しましょう。
 
〇観念運動失行
 他の人からの細かな指示を動作に結び付けるのが難しくなってしまうこと。声掛けをシンプルにして残っている能力を引き出すように心がける。どんな声掛けなら動けるか、どんな指示なら伝わりやすいかを考えることも大切です。認知症ケアでは、その人に残っている能力に焦点を当て、できるだけ自分のことは自分でできるように声掛けをして生活をサポートするのが理想です。声掛けを変えるだけで驚くほど行動できるようになります。その人に残っている能力には個人差があるので、すぐに「この人には伝わらない」と決めつけずにジェスチャーで伝えたり、声掛けを変えたりして、どうしたら伝わるかを考えましょう。「どんなことにもできないという先入観を持たない」を大切に関わっていきましょう。

舌トレ?!

2023-12-11
高齢者は加齢による誤嚥の危険性が高くなることが知られています。2022年度の日本人の主な死因の第6位が誤嚥性肺炎となっています。誤嚥は時に命にかかわる事態を引き起こす重大な問題です。元気に長生きするためにも、誤嚥予防はとても重要です。その中で、近年は舌の筋力を保つことが誤嚥予防の一つとして注目されています。
 舌は舌筋と呼ばれる筋肉を粘膜が覆う形でできています。舌の外観は舌の先にあたる舌尖、舌の中央にあたる舌体、舌の奥にあたる舌根に分けられます。舌根部は下あごの歯ぐきの内側に固定されていますが、舌尖と舌体は自由に形を変えて、舌全体を前に出したり、後ろに引っ込めたりすることができるようになっています。
舌は食べることにおいて重要な器官となっています。そのため、舌の筋力低下等が生じると、食べ物の物性や口腔内での形状、位置、味等がわかりにくくなる、食べ物を押しつぶしにくくなる、食べ物と唾液を混ぜにくくなる等の機能が低下し、誤嚥の危険性が高くなってしまいます。
 舌の筋力低下のチェック方法は医療機関で用いられる舌圧測定器で舌圧を知ることで舌の筋力を推測できます。しかし、日常生活の中で些細な変化に自ら気づくことがまずは大切です。その方法の一つが舌の位置と話し方を確認する方法です。
 舌の位置を確認する方法は、口を閉じた状態で、舌がどこに触れているか意識してみると舌の筋力低下をチェックすることができます。舌が上あごにべったりとついている場合は舌の筋力が保たれています。しかし、舌の先が上の歯についているだけであったり、舌がどこにも触れていなかったりする場合は舌の筋力が低下している可能性があります。
 話し方で確認する方法は、話し方が明確であるかどうかを意識してみましょう。例えば、タ音は舌の先が上あごにつくことで音がつくられ、カ音は舌の奥が上あごにつくことで音がつくられます。そのため、「タ」や「カ」の話し方が不明瞭な場合は舌の筋力が低下している可能性があります。
 舌の筋肉を保つにはいくつかの運動があります。よく知られているのが「舌を突き出す」「舌を左右の口角に持ってくる」「上下口唇や口腔内を舌で舐める」等の舌の運動です。
 「べー」と舌を突き出して下にしっかり伸ばす。そして舌を引っ込めるといった運動を30回程度行うだけでもよい運動になります。
 他にもベロトレ(一日3分の舌の筋トレで体中の不調が消えていく)が出版されています。基本のベロトレは「あー」「いー」「うー」と口を大きく動かした後に「べー」と舌を3回思い切り下に伸ばすだけです。これを1セットとし、一日30セットを目役に行うことで、舌の筋肉を鍛えることができます。他にも舌筋をさらに強化する「ベロ回し&ベロ押し」や顔の表情筋を動かしてタルミを撃退する「変顔ベロトレ」等があります。
 さらに舌の筋力増強に対しては、舌の筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動(レジスタンストレーニング)が有効とされています。しかし、これを行う際には歯科医院や嚥下外来等の嚥下訓練を行っている医療機関で相談することをおすすめします。
 舌は「呼吸する」「食べる」「話す」という人間が生きるために不可欠な3つの活動を支えています。できることを実践していき、舌の筋肉を鍛えることで、舌と全身の筋力を保ち、落ちベロや口呼吸を防止することで、様々な病気のリスクを低下させることができます。健康寿命を延ばすためにも必要な舌の筋力維持を常に意識し、自宅でも食べる前に舌の運動を行っていきましょう。

入浴介助について

2023-11-11
今回は当苑デイサービスでの取り組みについてご紹介させていただきます。
入浴を行う際に「清潔を保つこと」「安心安全に入浴できること」を大切にしていますが、当苑が一番大切にしていることは「自立支援」です。多くの利用者様が入浴をするため、時間がないから職員主体になりがちな入浴介助。当苑では環境を整え、職員はあえて利用者様の動きを待つこと、利用者様ができることを引き出すことを大切にし、「利用者様主体」を心掛けて入浴介助にあたっています。どのような取り組みを行っているか紹介させていただきます。
 
➊脱衣所に呼ぶ時に手すりのある座席や長椅子等、個々に合わせて自立で着脱できる場所に誘導しています。
❷着替えを職員が用意している方は着替えやすい順番に置いてご自分で着やすくしています。
❸入浴時の洗身、洗髪はまずはご自分でしていただく。手の届かないところは介助しますが、利用者様の身体機能でできると判断した部位は声がけしてご自分でしていただく。洗い残しがないように見守り、介助は行っています。
❹背中をご自分で洗身できるようにタオルを使用した入浴動作の動きの練習を訓練内容に含んでいます。
❺洗う順番が分からず、戸惑っている方用に洗う順番の貼り紙が貼ってあります。それを指さして、この順番で洗ってみましょうとご自分で見て考えながら取り組めるようにしています。
※一つ一つ丁寧に声がけするのも大切ではありますが、認知症の進行を遅らせる観点からご自分で見て考えてから実施することを大切にしています。
❻着脱で靴下を履くのが難しい方には足元に台を置いて、ご自分でできるように心がけています。
❼浴室内の段差を跨いだり、昇降したりするために必要な動きを機能訓練に取り入れています。
❽頭部や足元をご自分で洗えるように、肩の体操やリラクゼーションを行っています。
❾立ち上がりや立位を長時間保持できるように、椅子に座る時間が長くならないように立つ機会を増やすレクや訓練を行っています。
 
上記で取り組んでいることを今後も継続して行い、身体機能維持・向上に取り組んでいきます。

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