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共感力

2025-04-05
「共感力」について特集していきます。
 そもそも「共感」とは「他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分もまったく同じように感じたり理解したりすること」(参照:広辞苑)。この言葉の意味から考えると、「共感力」とは、他者の考えや意見にその通りだと感じること、喜怒哀楽といった感情に寄り添うことができる力といえます。しかし、実際に「共感」がうまれる際には必ずプロセスがあり、時間軸が生じます。そして、そこには「共感される人」と「共感する人」の関わりがあり、両者の共鳴で「共感」が実現しているといえます。すなわち、「共感」とは、単に「共感する人」だけの行為では成り立たず、両者の間でのコミュニケーションにより生まれているのです。大切なこととして「目の前にいる相手に寄り添う気持ちで注意を向けながら、自分に起きる反応や現れてくる思考にも気づき、相手に対する理解と互いの共有領域を拡げていくコミュニケ-ション」が共感力には不可欠になります。
 共感力は自分の話すことに対し、十分な傾聴をしてもらえる。否定せずに自分の思いや考えを受け止めてもらえる。さらには、聞き手の関わりにより、自分でも気づいていなかった気持ちや考えに気づく。このような「共感」のプロセスは、どんな効果につながるのでしょうか。
・信頼関係が構築されやすくなる。
・円滑なコミュニケーションがうまれる。
・対立の解消や苦手な人への歩み寄りの第一歩となる。
共感できない場合は、そのまま受け止めて「理解」することが大切です。共感できることが「良く」て、共感できないことが「悪い」というものではないことを、必ず念頭においておきましょう。共感が難しいと思うような場面では、「共感できない」ことを受け入れていきましょう。そして、「共感できない理由」などを考えてみることで、共感できない相手との価値観の違いを発見する機会や自分の意見や軸というものを改めて見出す機会にもなるでしょう。共感力を高めていく上では、自己管理やセルフケアも大切なことなのです。
 認知症の方が落ち着かなくなる原因について触れていきます。
記憶機能や見当識機能、実行機能、認知機能などに障がいが発生します。これらは「中核症状」と呼ばれ、物忘れや判断力の低下などを招きます。また、中核症状が基になり「BPSD(行動・心理症状)」という周辺症状を引き起こすことがあります。BPSDを発症すると、徘徊や幻覚をはじめ、妄想、暴言、暴力、うつなど、様々な症状がみられるようになります(人間関係や環境におけるストレスの高まりが発症の引き金となることが多い症状であるため、すべての方に発症するわけではありません)。BPSDは一般的に問題行動とされるものが多く、ときには周囲を驚かせるような理解しがたい行動をとることがあります。しかし、私たちには理解しがたい行動であっても、本人達には合理的な理由が存在していることが多いのです。そこで何より大切なのは「傾聴」と「観察」です。まずは本人の訴えに耳を傾け、その背後にある理由や感情を理解することが大切です。単に行動を抑えつけるような対応は、症状や状況の悪化につながりますので、注意が必要です。
 認知症の方への対応において最も重要なことは、行動を無理やり抑えつけたり、責めたりするのではなく、本人の訴えに耳を傾け、不安や焦りを取り除くことです。本人に安心感を抱いてもらうことは、症状の軽減に加え、介護の負担軽減にもつながります。また、「自尊心を傷つけないこと」「焦らせないこと」の2つを心がけることも大切です。先に述べた「共感力」が認知症の方への対応にとても役立ちます。介護する側の一方的な思いではなく、介護される側の思いを傾聴と観察、共感を意識して関わっていきましょう。
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