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スピーチロック?!

2024-08-06
介護現場で当たり前のように使用している言葉にも身体的、精神的な抑制が潜んでいます。それはスピーチロックで、言葉の拘束ともいわれています。「ちょっと待って」「だめでしょ」と言葉によって身体的、精神的行動を抑制することです。例えば、「トイレに行きたい」「部屋に戻りたい」と言われたとき、忙しい介護現場では「ちょっと待って」ということも多いかと思いますが、この声がけはスピーチロックの一つです。命令によって高齢者の行動を制限していることになります。介護現場の状況によってすぐに対応できない場合もあります。その場合は「~していただけませんか?」と、高齢者に判断をしてもらうような優しい口調や具体的な内容を伝えるようにしましょう。
 無意識なスピーチロックに注意する(見かけたり、してしまったりしたときは今後起こさないために共有することが大切です)。相手の立場で考える(嫌だと感じそうな言葉はできるだけ使わないようにしましょう。)ジェスチャーや表情にも気を配る(敬意がこもった言葉遣いや口調に加え、豊富なジェスチャーと柔らかい表情を心掛け、良好な信頼関係を築きましょう)。
スピーチロックがなぜダメなのか?
介護現場でスピーチロックが常態化することで、高齢者のADL(日常生活動作)が低下したり、認知症状が悪化したりなどのリスクを招くおそれがあります。たとえば高齢者が介助者に声をかける度に「待っててね」などの言葉で返答している場合、高齢者の行動意欲がそがれてしまい、徐々に体を動かそうとする意志が失われていく可能性があります。また、「どうして〇〇するの!」など相手を叱咤した場合、適度のストレスにより認知症状の悪化も懸念されます。
高齢者の立場になって考えることで、どのような言葉をかけられると嫌な気持ちになるのか、心が傷つくのかを知るきっかけになります。視点を変えれば、どのような声がけが嬉しいかを考えることもできるでしょう。また、してほしくない行為を高齢者がしたときに、なぜその行動につながったのかを考えることで、声のかけ方も変わってくるはずです。いきなり一方的な叱咤の言葉をぶつけるのではなく、ひと呼吸おいて相手のことを考える意識を持ちましょう。大事なのは、高齢者を尊重する気持ちを第一に持つことです。
 
〇両手引き歩行介助は介護度悪化に注意。自立支援の介助方法とは
そもそも介助とは何か。介助とは日常生活で支援が必要な人に対して、食事、入浴、移動、排せつなどの生活動作をサポートし、その人がより快適に、また自立した生活を送ることができるように手助けすることです。介助では、ただ助けるだけでなく、今ある能力を活かしてできるだけ自分でできるように関わることが重要です。
歩くこととは、重心を移動させて、進行先に足を出す反復ですが、受動的になると自分で重心の位置を意識しなくなります。そうなると、後方重心や円背変形の進行、尻もち転倒リスクの要因になります。
歩行時に前に引っ張る歩行介助をしてしまうと、介助なしの歩行と違う足運びになります。そうなると、足が出にくくなり、つまづきや転倒リスクの要因になります。また、手を引かれると、自分から動くという意欲が減退します。楽したいという気持ち、おまかせコースでいいやという気持ち、介助者に引っ張られるという屈辱などいろいろな意味でです。そうなると、認知・遂行機能低下、自発性低下につながります。
歩行をする主体は歩いている本人です。その舵取りや重心の移動を妨げてしまうと機能低下につながります。本人が歩いていることを遮らないことが最も自立支援で大切です。介護者が誘導から支えまですべて行ってしまえば時間が短縮できて楽ですが、せっかく歩行を行っているならば主体性を尊重して支援することは大切です。
手をつないで歩くときも利用者様が主体です。介助者が歩いている本人より前を歩く様子をよく目の当たりにしますが、それは介助者主体になっています。ユマニチュードの見る、触れる、話す、立つことを意識した関わりを再度意識していけば真横で常に歩くように意識が変化するはずです。
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