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舌トレ?!

2023-12-11
高齢者は加齢による誤嚥の危険性が高くなることが知られています。2022年度の日本人の主な死因の第6位が誤嚥性肺炎となっています。誤嚥は時に命にかかわる事態を引き起こす重大な問題です。元気に長生きするためにも、誤嚥予防はとても重要です。その中で、近年は舌の筋力を保つことが誤嚥予防の一つとして注目されています。
 舌は舌筋と呼ばれる筋肉を粘膜が覆う形でできています。舌の外観は舌の先にあたる舌尖、舌の中央にあたる舌体、舌の奥にあたる舌根に分けられます。舌根部は下あごの歯ぐきの内側に固定されていますが、舌尖と舌体は自由に形を変えて、舌全体を前に出したり、後ろに引っ込めたりすることができるようになっています。
舌は食べることにおいて重要な器官となっています。そのため、舌の筋力低下等が生じると、食べ物の物性や口腔内での形状、位置、味等がわかりにくくなる、食べ物を押しつぶしにくくなる、食べ物と唾液を混ぜにくくなる等の機能が低下し、誤嚥の危険性が高くなってしまいます。
 舌の筋力低下のチェック方法は医療機関で用いられる舌圧測定器で舌圧を知ることで舌の筋力を推測できます。しかし、日常生活の中で些細な変化に自ら気づくことがまずは大切です。その方法の一つが舌の位置と話し方を確認する方法です。
 舌の位置を確認する方法は、口を閉じた状態で、舌がどこに触れているか意識してみると舌の筋力低下をチェックすることができます。舌が上あごにべったりとついている場合は舌の筋力が保たれています。しかし、舌の先が上の歯についているだけであったり、舌がどこにも触れていなかったりする場合は舌の筋力が低下している可能性があります。
 話し方で確認する方法は、話し方が明確であるかどうかを意識してみましょう。例えば、タ音は舌の先が上あごにつくことで音がつくられ、カ音は舌の奥が上あごにつくことで音がつくられます。そのため、「タ」や「カ」の話し方が不明瞭な場合は舌の筋力が低下している可能性があります。
 舌の筋肉を保つにはいくつかの運動があります。よく知られているのが「舌を突き出す」「舌を左右の口角に持ってくる」「上下口唇や口腔内を舌で舐める」等の舌の運動です。
 「べー」と舌を突き出して下にしっかり伸ばす。そして舌を引っ込めるといった運動を30回程度行うだけでもよい運動になります。
 他にもベロトレ(一日3分の舌の筋トレで体中の不調が消えていく)が出版されています。基本のベロトレは「あー」「いー」「うー」と口を大きく動かした後に「べー」と舌を3回思い切り下に伸ばすだけです。これを1セットとし、一日30セットを目役に行うことで、舌の筋肉を鍛えることができます。他にも舌筋をさらに強化する「ベロ回し&ベロ押し」や顔の表情筋を動かしてタルミを撃退する「変顔ベロトレ」等があります。
 さらに舌の筋力増強に対しては、舌の筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動(レジスタンストレーニング)が有効とされています。しかし、これを行う際には歯科医院や嚥下外来等の嚥下訓練を行っている医療機関で相談することをおすすめします。
 舌は「呼吸する」「食べる」「話す」という人間が生きるために不可欠な3つの活動を支えています。できることを実践していき、舌の筋肉を鍛えることで、舌と全身の筋力を保ち、落ちベロや口呼吸を防止することで、様々な病気のリスクを低下させることができます。健康寿命を延ばすためにも必要な舌の筋力維持を常に意識し、自宅でも食べる前に舌の運動を行っていきましょう。
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